『寵愛を拒むのになんで執着するんですか』(原題:총애를 거절하는데 왜 집착하나요)は、皇女として生まれながら陰謀により孤児として育った少女シュエリーナが、過去の記憶を持ったまま時を遡り、再び人生をやり直す異世界ファンタジー作品です。

原作小説は韓国の作家ソユア氏による全8巻構成で、2023年に完結済み。漫画版はDANME氏が脚色、先生氏が作画を担当し、ピッコマにて連載中です(毎週月曜更新)。

タイトル(日本語):寵愛を拒むのになんで執着するんですか原題(韓国語):총애를 거절하는데 왜 집착하나요 ジャンル:異世界転生ファンタジー/宮廷ドラマ/感情成長系 形式:原作小説(完結済・全8巻)/漫画版(連載中・ピッコマ) 作者:ソユア(小説)/DANME(脚色)/先生(作画)
イメージ:マンガたのし屋 作成

タイトルが示すように「一度拒まれた愛」を巡る人間関係が物語の核となっており、皇族たちの態度の変化や複雑な感情の交錯が丁寧に描かれています。本作の魅力は、単なる異世界転生や復讐劇にとどまらず、「愛されることの意味」そのものを深く掘り下げている点にあります。

過去に愛を知らず、孤独の中で命を落としたシュエリーナが、「今度こそ本当の幸せを手に入れたい」と願い行動する姿に、多くの読者が心を打たれました。大公家や実の父・兄との再会を通じて、彼女は「誰かに選ばれる存在」から「自ら幸せを選ぶ存在」へと成長していきます。

後半には竜の少年カイデンや邪悪な精霊といったファンタジー要素も加わり、物語はよりスリリングかつドラマチックに展開。感情描写のリアリティと、予測できないストーリー展開が高く評価され、ピッコマ内でも人気作品となっています。

この記事では、そんな『寵愛を拒むのになんで執着するんですか』について、原作小説と漫画版の内容を踏まえつつ、ネタバレありでがっつり深掘りしていきます。

まだ読んでいない方はご注意ください。すでに読んだ方には、ぜひ一緒に余韻を噛みしめてもらえたら嬉しいです!

※以下、原作小説の最終巻および漫画版の最新話までの完全ネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

この記事でわかること
  • 物語のあらすじと結末の流れ

  • 各登場人物の正体と最終的な運命

  • 皇妃とアズエラによる陰謀の全貌

  • 原作と漫画版の違いや最新話の展開

 

寵愛を拒むのになんで執着するんですか – 原作の完全ネタバレ解説

  • 前世の悲劇と「回帰」の理由
  • 回帰後:大公家での生活と変化
  • 皇宮での再会と確信
  • アズエラの出生の秘密と正体
  • 皇妃イレイナと「白い塔」の断罪
  • シュエリーナが掴んだ“幸せ”と結末

 

前世の悲劇と「回帰」の理由

シュエリーナは、帝国皇帝ガブナオンと先代皇后ヘレイスの間に生まれた正統な皇女でした。しかし、誕生直後に母・ヘレイスが急逝。その直後、もう一人の皇妃イレイナによって恐ろしい陰謀が仕掛けられます。

シュエリーナは「死産だった皇子」と偽られ、実際には生きていたにも関わらず、亡き子として葬儀まで行われました。イレイナはこの事実を完全に隠蔽し、シュエリーナを孤児として宮廷の外に捨ててしまいます。

こうして、自分が皇女であることも知らぬまま、孤児院で過酷な幼少期を過ごすこととなったシュエリーナ。しかし運命は皮肉にも、成長した彼女を再び皇族たちと引き合わせます。実の父である皇帝ガブナオン、そして実兄である皇太子ルーカスとの再会を果たしますが、その喜びもつかの間、イレイナとその娘アズエラによって再び陰謀に巻き込まれてしまいます。

シュエリーナは無実の罪で投獄され、さらにはアズエラに生命力と精霊力を奪われてしまいました。皇族の証である精霊力を失った彼女は、皇女である証拠を持たず、皇帝や兄からも見放されるという絶望に直面します。

しかし、物語はここで終わりません。

シュエリーナの「もう一度人生をやり直したい」という強い願いに呼応するように、彼女と特別な契約を結んだブラックドラゴンの少年・カイデンが登場します。彼は時を巻き戻すという強大な魔法を使い、シュエリーナに“回帰”の機会を与えたのです。

こうして、彼女は前世の記憶を持ったまま幼い姿に戻り、再び人生を歩み始めることになります。

 

回帰後:大公家での生活と変化

幸せな笑顔を浮かべるシュエリーナ
イメージ:マンガたのし屋 作成

幼い姿に戻ったシュエリーナは、孤児院で静かに暮らしていました。そんな彼女を引き取ったのが、帝国の名門貴族であるバイロット大公・クリスタです。世間では「冷酷な大公」と噂されていた彼ですが、実際は孤児であるシュエリーナに深い同情を寄せ、養女として迎え入れる優しさを持った人物でした。

大公には二人の息子、ウィンデルトとデレイン(通称デル)がいます。彼らもまた、シュエリーナを実の妹のように受け入れ、彼女にとって温かな新しい家族となっていきます。

前世では誰からも愛されず孤独に生きてきたシュエリーナにとって、この大公家での日々は涙が出るほど幸福なものでした。「今度こそ、この家族と幸せになる」──そう彼女は心に誓います。

一方その頃、皇帝ガブナオンの心にはある疑念が生まれていました。先代皇后の子は本当に死産だったのか。というのも、かつて出産の瞬間、彼は強い精霊力の気配を確かに感じ取っていたからです。イレイナ皇妃から「皇子は生まれてすぐに亡くなった」と聞かされてはいたものの、真実を疑った皇帝は、密かに全国の孤児院を巡り、「生きているかもしれない我が子」を探し続けていました。

こうした執念が実を結び、次第にシュエリーナの存在は皇族の間でも噂され始めます。

回帰後のシュエリーナは、前世の記憶ゆえに常に不安を抱えていました。自分が皇帝の娘であることが知られれば、また皇妃イレイナに命を狙われるのではないか。そんな中、彼女は偶然、実の兄である皇太子ルーカスと出会います。

ルーカスは精霊力によって真実を見抜く力を持っており、彼女にどこか懐かしい気配を感じます。一方のシュエリーナは、前世で彼に裏切られた記憶があるため、思わず警戒心から冷たい態度を取ってしまいます。

やがて、皇帝と大公という立場の異なる二人の“父”が、シュエリーナを巡って対立することになります。皇帝は「もしかすると、この子が…」と期待し大公領を訪れますが、クリスタ大公は「この娘を手放すつもりはない」と強く反発しました。

その裏で、皇妃イレイナもまたシュエリーナの正体に気付き始め、再び彼女を排除しようと動き出します。密かに黒魔術師を差し向け、大公邸を襲撃させたのです。

こうしてシュエリーナは身の安全のため、一時的に皇宮へと避難することとなりました。

 

皇宮での再会と確信

シュエリーナが皇宮へ移った後も、皇妃イレイナの陰謀は続いていました。今度は、彼女の命を狙うため、イレイナの側近である侍女タリアがシュエリーナ付きのメイドとして送り込まれます。

タリアは毒殺を企てるなど、表向きは従順ながらも危険な存在でした。しかし、前世の経験から警戒心の強いシュエリーナは、その動きをすぐに察知します。ある日、あえて彼女の前で転倒し、「タリアに突き飛ばされた」と演技して見せたことで、状況を一気に有利に持ち込みました。

この機転により、タリアは皇帝らの前で罪を問われ、追放処分となります。イレイナの計画は失敗し、「シュエリーナは陰湿な性格だ」と主張するタリアの報告も信じてもらえず、イレイナ自身が動揺を隠しきれなくなっていきます。

その後、皇帝と皇太子ルーカスが改めてシュエリーナと向き合う場が設けられました。精霊力を感じ取った皇帝は確信します──「この子こそ、私の娘・シュエリーナだ」と。

けれども、当のシュエリーナは、簡単にその事実を受け入れることができませんでした。なぜなら、今の彼女にとって本当の家族とは、大公家で共に過ごしてきた人たちであり、何より前世で皇帝と皇太子に見捨てられたという深い傷が、心の底に残っていたからです。

一方で、皇妃イレイナの陰謀が今も進行中である以上、皇族に保護される立場を選ばなければ、再び命を狙われる恐れもありました。悩みに悩んだ末、シュエリーナは勇気を出して自らの口で告白します。

「アズエラには精霊力がなく、前世で私から力を奪ったのです」

この言葉を聞いた皇帝は大きな衝撃を受けつつも、娘の言葉に真実を感じ取り、深く悔い改めます。そして、涙ながらに彼女を抱きしめ、「もう二度と見捨てない」と誓いました。

それと同時に、皇太子ルーカスと共にイレイナの陰謀を暴くことを決意します。ここに至り、ようやくシュエリーナと皇帝の親子関係は修復され、彼女は大公家と皇族の双方から守られる存在となりました。

 

アズエラの出生の秘密と正体

アズエラがシュエリーナに向かってほくそ笑むところ
イメージ:マンガたのし屋 作成

皇帝ガブナオンは、シュエリーナの告白をきっかけに真実を探るため、宮廷で長年仕えてきた伯爵夫人を呼び寄せます。彼女の証言により、衝撃的な事実が次々と明らかになっていきました。

伯爵夫人によれば、アズエラは皇帝の実子ではなく、皇妃イレイナとある近衛騎士との間に生まれた私生児だったのです。しかも、イレイナは双子を出産しており、男児と女児──すなわちアズエラがいました。

男児は無事に産声を上げたものの、イレイナは女児だけを選び、男児を手放します。アズエラは秘密裏に育てられ、やがて皇女と偽って宮廷に迎え入れられました。

この出生の秘密こそが、イレイナがシュエリーナを排除しようとした本当の理由でもあります。彼女は自分の娘アズエラに精霊力がないことに気づいており、シュエリーナを「精霊力の供給源」として利用するために、幼い彼女を孤児院に送り込みました。

その後もイレイナは密かにシュエリーナを監視し、黒魔術師を使って彼女の生命力や精霊力を定期的に奪い取り、それをアズエラに与え続けていたのです。

アズエラが精霊力を持っているかのように見えていたのは、そのおかげでした。実際には、皇帝が感じ取っていた“本物の精霊力”が彼女からまったく感じられなかったのもそのためだったのです。

全ての証拠と証言が揃ったことで、皇帝はついに公開の場で重大な決断を下します。廷臣たちが見守る中、アズエラを呼び出し、自らの口でこう告げました。

「アズエラは、我が娘ではない」

この宣言により、イレイナ皇妃もまた罪に問われることとなり、「皇女の身分を偽った重罪」により告発されます

イレイナは「本物の皇女はどこかの者にすり替えられた」と主張し、自らを被害者に仕立て上げようとしましたが、既に証拠は揃っており、言い逃れは不可能でした。裁判の結果、アズエラには死刑が宣告され、物語はひとつの区切りを迎えます

──しかし、これで全てが終わったわけではありませんでした。

死刑が決まり、独房に囚われたアズエラのもとに、突然“闇”が現れます。その中から姿を現したのは、かつて彼女に憑依していた邪悪な精霊でした。

「お前の使命は一つだけ。シュエリーナを手に入れること──」

その声に反応したアズエラは、まるで何かに覚醒するように、自分が“人間ではなかった”という記憶を取り戻します。実は、アズエラの肉体には、生まれながらにして魂がなかったのです。

イレイナは出産時、肉体だけの娘に“悪霊”を憑依させる禁術を施していました。つまりアズエラという存在は、人間の皮をかぶった邪悪な精霊にすぎなかったのです。

この精霊こそ、前世でもシュエリーナの精霊力を狙い暗躍していた張本人でした。彼は「シュエリーナは私の獲物」と語り、再び不気味な影となって姿を消していきます。

アズエラの死と共に、精霊の力は一時的に封じられましたが、彼の存在は依然として完全には消えていませんでした。

 

皇妃イレイナと「白い塔」の断罪

邪悪な精霊の存在が明らかになったことで、皇帝ガブナオンはついにイレイナ皇妃の背後にある闇に気付きます。精霊召喚という禁忌の行為が行われていたこと、そしてその陰には秘密結社「新しい日の救い」と呼ばれる組織の存在があったのです。

この組織の拠点は「白い塔」と呼ばれ、長年にわたり皇妃イレイナの命で動いてきた闇の中枢でした。誘拐、偽装、記録の改ざん、皇女の監禁、そして悪霊の召喚──これらすべてがイレイナと白い塔の仕業だったことが、次第に明らかになっていきます。

裁判の場では、皇帝自らこれらの罪状を公式に発表し、イレイナに対して極刑を宣告しました。まず彼女は、皇妃の地位を剥奪され、皇族としての名前も記録から完全に抹消されます。つまり、歴史の中から「イレイナ」という存在自体が消されることになったのです。

さらに、彼女には全国巡回の「晒し刑」という屈辱的な罰が課されました。罪人として護送馬車に乗せられ、帝国中の町を巡らされるたびに、自らが犯した罪が民衆の前で読み上げられます。怒りと軽蔑の視線にさらされながら、最後には遠方の鉱山に流刑され、一生を過酷な労働の中で過ごすことになりました。

イレイナの一族にも処罰は及びます。父親は爵位を剥奪され、宮廷の豚小屋係として30年働かされる刑に。母親は下働きのメイドとして使われ、貴族の誇りも名誉もすべて失います。かつて帝国で大きな影響力を持っていた彼女の家系は、「邪悪な血族」として完全に没落しました。

また、イレイナの双子のもう一人──アズエラの兄にあたるフェリックスも例外ではありません。彼の中には、いまだ悪霊の痕跡が残っている可能性があるとして、皇帝は安全のために彼を「白い塔」の隔離区域へと封じる判断を下しました。

こうして、イレイナとその協力者たちは徹底的に断罪され、帝国にはようやく平和が戻ることになります。

 

シュエリーナが掴んだ“幸せ”と結末

幸せをつかんだシュエリーナ。
イメージ:マンガたのし屋 作成

すべての陰謀が明るみに出て、帝国に平穏が戻ったあと──シュエリーナはついに本当の「家族の時間」を手にします

皇帝は正式に、彼女を皇族として公に認め、「皇女シュエリーナ」としてその存在を宣言しました。帝国中がその奇跡の帰還を祝福し、かつて誰にも知られず孤独に死を迎えた少女は、ようやく日の当たる場所へと立つことができたのです。

しかしシュエリーナにとって、決して忘れられない存在がもう一つありました。それが、彼女を育ててくれた大公クリスタとその家族です。長年ともに過ごしてきた彼らと離れることは、彼女にとって何よりもつらいことでした。

そんなシュエリーナの想いを汲み取ったのが、皇帝とクリスタ大公です。二人は彼女に“二つの姓”を与えるという、前例のない提案をします。これによりシュエリーナは、皇族としても大公家の娘としても認められる特別な立場となったのです。

「名前が少し長くなるだけだよ」

そう微笑む大公の言葉に、シュエリーナはようやく安心し、自分が本当に両方の家族から大切にされていることを実感します。

この決断は、ただの政治的妥協ではありませんでした。皇帝ガブナオンにとっても、クリスタ大公にとっても、シュエリーナはかけがえのない娘。どちらか一方に引き取るのではなく、共に彼女を守り育てていくという強い想いがあったのです。

そして、もう一人の大切な存在──それが、シュエリーナの契約精霊であり、守護者であるカイデンです。銀髪の少年の姿で現れる彼は、常に彼女のそばに寄り添い、何よりもシュエリーナの幸せを願って行動してきました。

回帰という奇跡も、彼の大きな犠牲と力があったからこそ成し遂げられたものです。シュエリーナは、彼に対して深い感謝と信頼を抱きながら、これからも共に生きていくことを選びます

物語のラストでは、シュエリーナが大切な家族とともに、温かい食卓を囲む場面が描かれます。そこには笑顔があふれ、カイデンもその輪の中にいます。

かつて「愛されたいのに、愛されるのが怖い」と怯えていた少女は、今や本物の愛と幸せを手にし、二度目の人生を歩み出しました。前世の絶望とは真逆の未来を、彼女はようやく自らの手でつかみ取ったのです。

 

寵愛を拒むのになんで執着するんですか – 漫画版のネタバレ解説

  • 最新話までの漫画版のネタバレ|皇帝によるアズエラの出生暴露や公開裁判に注目!
  • 登場人物と最終的な運命
  • 読んで感じた『寵愛を拒むのになんで執着するんですか』の魅力と考察
  • 寵愛を拒むのになんで執着するんですか|原作と漫画のネタバレを解説のまとめ

 

最新話までの漫画版のネタバレ|皇帝によるアズエラの出生暴露や公開裁判に注目!

原作小説の人気を受けて連載中の漫画版『寵愛を拒むのになんで執着するんですか』は、物語の世界観をビジュアル豊かに描写しています。2025年4月現在、第37話までが公開されており、物語はちょうどシュエリーナが皇宮での生活を始めたところまで進んでいます。

シーズン1(第1話〜第27話)では、幼少期のシュエリーナがバイロット大公クリスタに引き取られ、大公家で温かな愛情を知っていく過程が丁寧に描かれました

また同時に、皇帝が「亡くなったはずの皇子」を探し続けていた背景や、精霊力という皇族特有の能力についても触れられています。皇帝は風を操る力を、皇太子ルーカスは真実を見抜く力を持っており、シュエリーナには“希望を宿す美しい精霊力”があることが暗示されました。

一方で、アズエラには本来精霊力がないという伏線も序盤から張られており、読者に「彼女は本当に皇帝の子なのか?」という疑念を抱かせる展開が巧みに組み込まれています。

第28話以降の中盤では、皇帝がシュエリーナに疑念と関心を抱き始め、大公家と皇族の思惑が交錯していきます。最新話付近では、皇妃イレイナが黒魔術師を使いバイロット大公領を襲撃させる事件が発生し、シュエリーナは身の安全を確保するため一時的に皇宮へと移ることになります。

皇宮編では、皇帝や皇太子がシュエリーナを過保護に接しつつも、皇妃が新たな刺客を差し向けるというスリリングな展開が続きます。

たとえば、イレイナはシュエリーナ付きの専属メイドに腹心タリアを送り込み、毒見役と見せかけて暗殺を企てますが、シュエリーナはわざと転倒し「この人に突き飛ばされた」と訴えることで、見事にタリアの任命を阻止しました。この機転により、皇妃はシュエリーナを一筋縄ではいかない存在と認識し、警戒心を強めることになります。

第37話では、シュエリーナが皇帝の計らいで皇宮内に個室を与えられ、大公一家と共に一夜を過ごす姿が描かれました。皇帝が用意したドレスを、大公が「趣味が悪い」と一蹴し、自家の紋章入りドレスに着替えさせるなど、実父と養父の微笑ましい対抗心も印象的です。一方のイレイナは、暗殺の失敗に焦りを見せ、さらなる策を講じようとする気配が漂っています。

原作を知る読者にとっては、今後訪れる“真実の対決”──皇帝によるアズエラの出生暴露や公開裁判──が目前に迫っていると感じられ、漫画版でどのように描かれるのかに注目が集まっています。

漫画版と原作小説の主な違いとしては、描写のアプローチが挙げられます。漫画版では、シュエリーナの表情や感情が視覚的に描かれ、大公の溺愛ぶりや皇妃の冷酷さが直感的に伝わります。一方、原作ではキャラクターの内面描写や夢の中での象徴的なシーンなどがより詳細に語られており、物語の深みをよりじっくり楽しめる構成となっています。

また、漫画版ではまだ終盤の重要な要素──邪悪な精霊の正体やアズエラの出生の真実──には明確には触れられておらず、現在は伏線段階です。今後、原作同様のクライマックスに向けてどのように展開していくか、期待が高まっています。

このように、漫画版は原作の魅力をビジュアルで再解釈しつつ、大筋の流れを忠実に再現しており、ファンからの支持も厚い作品となっています。

 

登場人物と最終的な運命

登場人物をまとめます。

登場人物 説明
シュエリーナ・アブニシア 転生して過去をやり直す元皇女。大公家と皇族の両方に正式に迎えられ、愛される存在として幸せをつかむ。
カイデン(カイ) 銀髪の竜の精霊で、シュエリーナを救うために時間を巻き戻した守護者。彼女のそばで生涯支え続ける。
クリスタ・バイロット 冷酷と噂されるも実は“娘バカ”な大公。シュエリーナを深く愛し、彼女の幸せのために皇帝とも協力する。
ウィンデルト 寡黙で頼れる大公家の長男。シュエリーナを実の妹のように大切にし、常にそばで支える存在。
デレイン(デル) 明るく無邪気な大公家の次男。シュエリーナに笑顔を与える弟分として、家族の温もりを届ける。
ガブナオン皇帝 前世で娘を信じられなかったが、回帰後は後悔し深く愛する父親へと変わる。皇妃の陰謀を暴き断罪。
ルーカス皇太子 真実を見抜く力を持つ皇太子。前世の過ちを償い、信頼される兄としてシュエリーナを守るようになる。
イレイナ皇妃 精霊力をめぐる陰謀を操った黒幕。悪事が露見し、皇族の地位を剥奪され歴史からも抹消される。
アズエラ 皇帝の実子ではなく、悪霊に憑依された偽皇女。正体が明かされ死刑となり、精霊は兄へと憑依。

シュエリーナ・アブニシア

本作の主人公であり、“捨てられた皇女”として過酷な運命を背負った少女です。前世では皇妃イレイナの策略により、孤児院で育ち、愛を知らないまま命を落としました。しかし回帰後は、名門・バイロット大公家の養女として新たな人生を歩みます。聡明で芯の強い性格の持ち主で、過去の記憶を糧に大切な人々を守ろうと奮闘。最終的には皇帝からも正式に皇女として迎え入れられ、大公家と皇族の両方に属する特別な立場を得ます。二つの家族に深く愛され、前世とは異なる明るい未来をつかみ取りました。

カイデン(カイ)

シュエリーナと契約を結んだ銀色の竜の精霊で、物語における“守護者”にして準主人公ともいえる存在です。人間と竜のハーフで、銀髪の少年の姿をしており、常にシュエリーナの幸せを第一に考え行動します。実は前世で彼女が絶望の中にあったとき、時間を巻き戻して彼女を救った張本人でもあり、その献身ぶりには多くの読者が心を打たれました。物語の終盤でもシュエリーナのそばに寄り添い、彼女の新たな人生を見守り続けます。

クリスタ・ヘロット・シュヘイン・デ・バイロット

バイロット大公であり、シュエリーナの養父。冷酷な人物と恐れられながらも、実際には非常に家族思いで、シュエリーナを引き取ってからは深い愛情を注ぐ“娘バカ”な父親です。実子であるウィンデルトとデレインにも優しく、大公家の温かな家庭を築いています。シュエリーナを守るためには皇帝にも一歩も引かず、最終的には皇族と協力して彼女の幸せを最優先に考える頼もしい存在となりました。

ウィンデルト & デレイン・デ・バイロット

クリスタ大公の息子たちで、シュエリーナの兄のような存在。長男ウィンデルトは無口ながらも頼れる性格で、常に妹を思いやっています。次男デレイン(愛称デル)は明るく無邪気で、シュエリーナにとって癒しのような存在です。二人ともシュエリーナを実の妹のように可愛がり、物語を通して彼女の支えとなっていきます。

ガブナオン・デ・アブニシア皇帝

帝国を統べる皇帝で、シュエリーナの実父。前世ではイレイナの嘘に騙され、シュエリーナの存在を信じられず見放してしまいました。回帰後はその過ちを悔い、全国を巡って娘を探し続けるほどに心を入れ替えます。再会後は「私の星」と呼ぶほど娘を溺愛し、皇妃の陰謀を暴いて断罪に動きます。風を操る精霊力の持ち主であり、父親としても皇帝としても、最後には強く頼れる存在となりました。

ルーカス・ラピス・イブニング・デ・アブニシア皇太子

皇帝の長男で、シュエリーナの実兄。前世では妹を救えなかったことに苦悩し、回帰後はその過ちを償うかのように彼女を守ろうと奮闘します。真実を見抜く精霊力の持ち主で、シュエリーナに対して本能的な絆を感じ取っていました。物語終盤では妹を全力で支える頼れる兄として成長し、家族との絆を深めていきます。

イレイナ・アリス・バルド・デ・アブニシア皇妃

本作の黒幕にして、最大の悪役。前皇后ヘレイスの死後に皇妃の座を奪い、シュエリーナを“死産の皇子”として処理し孤児院へと捨てました。娘アズエラのために精霊力を奪おうと「白い塔」という秘密組織を操り、長年にわたって陰謀を巡らせてきた冷酷非道な存在です。最終的にはその悪行が明らかとなり、皇族の称号を剥奪された上で、歴史から名前を抹消され、晒し刑と流刑という極刑に処されました。

アズエラ・リリス・エヴリン・デ・アブニシア

イレイナ皇妃の娘であり、表向きは可憐な皇女として振る舞っていましたが、実は皇帝の実子ではありません。本来の魂を持たず、イレイナによって邪悪な精霊を憑依させられた“人の姿をした器”であり、前世ではシュエリーナから精霊力と生命力を奪い、偽りの力で周囲を欺いていました。真実が暴かれたのち死刑を言い渡され、牢獄でかつての記憶と正体を取り戻します。彼女に宿っていた精霊は、最終的に双子の兄フェリックスに憑依し、共に隔離される結末を迎えました。

 

読んで感じた『寵愛を拒むのになんで執着するんですか』の魅力と考察

この作品を読んで、まず感じたのは「単なる復讐ものではない」という点でした。タイトルや設定から、“転生して復讐する系”を想像していたのですが、実際に読み進めていくと、まったく印象が変わります。

シュエリーナという少女が抱えていたのは、「誰かに罰を与えたい」という怒りよりも、「本当の愛を知りたい」という深い渇望でした。前世で孤独に死んだ彼女が、今世では少しずつ愛されることに慣れ、自分の居場所を見つけていく。その過程があまりに丁寧で、読みながら何度も胸が締め付けられるような思いになりました。

特に印象に残ったのは、大公クリスタの存在です。世間では“冷酷な大公”と噂されているのに、実際はシュエリーナに甘すぎるほど甘い。彼の不器用な優しさと、どんな相手にも引かない強さに、何度も「この人が父で本当に良かった」と思いました。個人的には“娘バカ”ぶりにクスッとさせられる場面も多く、重い展開の中にほっとする瞬間を与えてくれる存在です。

また、カイデンの健気さには正直泣かされました。物語の核心でもある「回帰」──実は彼が時間を巻き戻してくれていたという事実が明かされるシーンは、読んでいて鳥肌が立つほど衝撃的でした。「この子、そこまでしてくれてたの!?」と叫びたくなるほどに尊い存在で、彼が最後まで傍にいてくれる安心感が物語を支えていたと思います。

そして、物語後半で明かされるアズエラの正体。正直、早い段階から「この子、なにかおかしい」と感じてはいましたが、まさか本当に“悪霊が憑依していた器”だったとは…。この展開にはかなり驚かされました。伏線はしっかり張られていたので、振り返ると「あれがそうだったのか」と納得できる部分も多く、作り込みの細かさにも感心しました。

読後に一番心に残ったのは、「愛されるって、こういうことなんだな」という感覚です。血のつながりがなくても、想いがあれば家族になれる。逆に、血がつながっていても裏切られることもある。そんな複雑でリアルな人間関係を描きながら、最終的に“選ばれること”より“自分で選ぶこと”に価値を見出していくシュエリーナの姿に、心が救われました。

最終的に彼女が得たものは、“地位”や“名誉”ではなく、“愛される実感”だったのだと思います。読んだ後には優しい余韻が残って、「あぁ、これはただの復讐譚じゃない。人を信じたいと思える物語だ」と素直に思えました。

これから漫画版でもクライマックスが近づいてくる中で、原作の感動がどう描かれるのか非常に楽しみです。まだ読んでいない方には、ぜひ心の準備をして触れてみてほしい作品です。きっと、シュエリーナの歩んだ道が、誰かの心をそっと癒してくれると思います。

 

寵愛を拒むのになんで執着するんですか|原作と漫画のネタバレを解説のまとめ

この記事をまとめます。

この記事のまとめ
  • 皇女シュエリーナは陰謀により孤児として育つ

  • 前世の記憶を持ったまま過去に回帰する

  • 回帰のきっかけは竜の精霊カイデンの力

  • 養父となる大公クリスタに引き取られる

  • 大公家の温かい家族に支えられながら成長

  • 皇帝はシュエリーナの存在を疑い孤児院を探す

  • 皇妃イレイナは再び命を狙い刺客を差し向ける

  • 精霊力で皇女の正体を見抜く皇太子ルーカスと再会

  • シュエリーナは前世でアズエラに精霊力を奪われていた

  • アズエラは精霊の器として作られた存在と判明

  • 皇帝はアズエラを偽皇女と断じて公開裁判を実施

  • イレイナは精霊召喚や陰謀の罪で極刑に処される

  • シュエリーナは皇族と大公家の二つの姓を得る

  • カイデンは最後までシュエリーナの傍に残る守護者

  • 物語は愛と信頼を得て本当の家族と生きる姿で結ばれる

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